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お役立ちコラム

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お役立情報 2026/05/03

大規模修繕で固定資産税は減額される?適用条件と手続き方法とは

マンションの維持管理費は、快適で安全な住まいを長く保つために不可欠な要素であり、その中でも建物の耐久性を維持し、将来的な資産価値を守る上で極めて重要なのが大規模修繕工事です。
特に、建物の寿命を延ばすことを目的とした計画的な修繕は、多くの区分所有者にとって将来の住まいや資産への影響を考慮する上で、大きな関心事となるでしょう。
こうした計画的な修繕工事が、私たちの住まいに課せられる固定資産税にどのような影響を与えるのか、そして、特定の工事によって税額が減額される制度について、その詳細を解説します。

マンション大規模修繕で固定資産税は減額されるか

マンションの建物を長期間にわたって良好な状態で維持するために実施される大規模修繕工事、特に建物の寿命を延ばすことを意図した工事を行った場合、建物部分に課される固定資産税が減額される制度が存在します。
これは、単に建物を新しく見せるための修繕とは異なり、建物の構造的な劣化を防ぎ、将来にわたって安全で快適な居住環境を維持するための計画的な維持管理を国が奨励し、建物の長寿命化を促進することを目的とした、いわば「特例措置」として設けられています。
これにより、マンションという集合住宅における計画的な修繕への取り組みが後押しされることが期待されています。

長寿命化工事で税額減額あり

この制度の適用を受けることで、定められた一定の要件を満たす大規模修繕工事が完了した翌年度分の固定資産税額が、一定期間軽減されます。
具体的には、工事が完了した翌年度分に限り、建物部分の固定資産税額が減額されます。
この減額措置は、計画的な修繕投資を行った区分所有者への経済的な支援策の一つとして位置づけられ、長期修繕計画に基づく適切な維持管理を後押しする制度です。

減額は翌年度の建物分

ここで重要なのは、減額の対象となるのは、あくまで工事が完了した翌年度における「建物」に対する固定資産税のみであるという点です。
マンションの敷地である「土地」に対する固定資産税は、この減額制度の対象外となります。
固定資産税は、土地と建物それぞれに課税されるため、この点を混同しないように注意が必要です。
建物の機能維持や延命化を目的とした工事が、建物自体の価値や税額に影響を与えるのに対し、土地の評価額は建物の修繕工事では直接影響を受けないためです。

大規模修繕工事の対象とは

この固定資産税減額制度における「長寿命化に資する大規模修繕工事」とは、具体的にどのような工事を指すのでしょうか。
これは、建物の主要な構造部分や防水層の劣化を防ぎ、建物の寿命を延ばすために不可欠とされる、外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事の3種類が主に対象となります。
これらの工事は、建物の外観を保つだけでなく、雨水の浸入を防ぎ、構造材の劣化を遅らせるために極めて重要な役割を果たします。

外壁床屋根の防水修繕

具体的には、建物の外壁部分における塗装工事や、ひび割れ補修、シーリング材の打ち替えといった、外観の美観を保つだけでなく、雨水の浸入を防ぎ、構造材の劣化を遅らせるための工事が含まれます。
また、共用部分である廊下、階段、バルコニー、そして建物を雨水から守る屋上や屋根の防水工事も対象です。
これらの工事は、雨漏りを防ぎ、建物の躯体へのダメージを最小限に抑えることで、建物の耐久性を長期にわたって保つために不可欠であり、結果として建物の資産価値を維持することにも繋がります。

一体として行われる工事

この減額制度の適用を受けるためには、これらの外壁、床、屋根に関する防水修繕工事が、単独で行われるのではなく、一つの工事請負契約の中で、一体として計画・実施されていることが求められます。
例えば、外壁塗装工事と屋上防水工事を別々の時期に、別々の業者に依頼した場合は、原則として対象外となる可能性があります。
これは、マンション全体の計画的な維持管理の一環として、包括的に修繕が行われることを制度の趣旨としているためです。
複数の工事をまとめて発注することで、コスト削減や管理組合の事務負担軽減にも繋がる場合があり、計画的な修繕の推進という観点からも、一体的な工事が推奨されています。

減額制度の適用条件は何か

この固定資産税減額制度の恩恵を受けるためには、マンション自体が満たすべき条件と、実施される工事が満たすべき条件の両方が存在します。
これらの条件をすべてクリアしていることが、税額減額を受けるための前提となります。

築20年以上総戸数10戸以上

まず、対象となるマンションは、新築から20年以上が経過していることが条件です。
これは、ある程度の年数が経過し、建物の経年劣化が進み、計画的な大規模修繕の必要性が高まっていると想定されるためです。
また、総戸数が10戸以上であることも条件となっており、これはある程度の規模を持つマンションでの計画的な管理体制の存在を前提としていると考えられます。
小規模な建物では、修繕積立金の負担が大きくなり、長期的な計画立案が困難になる場合もあるため、一定の規模が求められていると言えるでしょう。

管理計画認定または助言指導マンション

さらに重要な条件として、マンションの管理組合が、国土交通省が推進する「マンション管理計画認定制度」に基づいて、管理計画の認定を受けているか、あるいは、地方公共団体から「マンション管理に関する助言または指導」を受けている必要があります。
管理計画認定制度とは、マンションの管理組合が長期修繕計画、修繕積立金の計画的な積立、管理規約の整備など、マンションの維持管理に関する計画を適切に作成・実行しているかを第三者が評価し、認定する制度です。
この認定を受けていることは、マンションが計画的かつ適切な管理運営を行っていることの証となります。
助言指導を受けている場合も同様に、管理組合の管理体制の強化に向けた取り組みが行われていることが評価されます。

過去工事と特定期間内の完了

加えて、減額対象となる長寿命化工事(外壁、床、屋根の防水修繕)が、過去に一度以上実施されていることも要件となります。
これは、継続的に建物の維持管理が行われてきた実績があることを示すためです。
そして、最も重要な期間に関する条件として、これらの工事が、制度が定める特定期間内、具体的には概ね2023年(令和5年)4月1日から2027年(令和9年)3月31日までの間に完了していることが必要です。
この期間内に工事が完了しなければ、減額制度の対象とはなりません。

固定資産税減額の手続き方法

この固定資産税減額制度の適用を受けるためには、所定の申告手続きを、定められた期限内に行う必要があります。
制度が自動的に適用されるわけではないため、対象となる工事を行った場合は、忘れずに手続きを進めることが重要です。

工事完了後3か月以内に申告

減額措置を受けるためには、大規模修繕工事が完了した日から起算して、3か月以内に、マンションが所在する市町村(東京23区は都)の税務担当窓口へ申告を行う必要があります。
この期間内に申告を行わないと、減額を受ける権利を失ってしまうため、工事完了後のスケジュール管理は非常に重要となります。

必要書類を添付し提出

申告の際には、原則として「固定資産税減額申告書」という所定の様式に必要事項を記入し、提出します。
これに加えて、工事が制度の要件を満たしていることを証明するための様々な書類の添付が求められます。
具体的には、工事請負契約書の写し、工事完了を証明する書類(工事完了報告書や請求書、領収書など)、工事内容を示す資料(仕様書、図面、写真など)、過去の同様の工事が行われたことを証明する書類(過去の工事契約書や報告書など)、そして管理組合が管理計画の認定を受けていることを証明する通知書などが例として挙げられます。
これらの書類は、税務担当者が工事内容や適用条件を確認するために不可欠なものです。

インターネット申告も可能

近年では、行政手続きのデジタル化が進んでおり、この固定資産税減額申告も、eLTAX(エルタックス:地方税ポータルシステム)などの電子申告システムを利用して、インターネット経由で行うことが可能になっています。
eLTAXを利用することで、自宅や事務所など、インターネット環境があればどこからでも申告作業を行うことができ、時間や場所の制約を受けずに手続きを進めることができます。
また、書類の郵送や持参の手間が省け、申告控えの管理も容易になるなど、多くの利便性があります。
利用にあたっては、対応したPC環境や、場合によっては電子証明書の取得が必要となりますが、利便性の高さを考慮すると、積極的に活用を検討する価値があるでしょう。

まとめ

マンションの長寿命化に資する大規模修繕工事を実施した際には、建物部分の固定資産税が減額されるという、非常に有益な制度が存在します。
この制度を効果的に活用するには、まず、マンションが新築から20年以上経過しており、総戸数が10戸以上であるといった基本的な条件を満たしているかを確認することが出発点となります。
さらに、管理組合が「マンション管理計画認定」を受けているか、または「管理に関する助言・指導」を受けているといった、計画的な管理運営を行っていることが求められます。
工事内容についても、外壁、床、屋根の防水修繕工事が一体として行われ、過去にも同様の工事が実施されていることが必要条件です。
これらの条件を満たした上で、工事完了から3か月以内に、必要書類を添付して市区町村の税務担当窓口へ申告を行うことで、翌年度分の固定資産税が減額されます。
インターネットを通じた電子申告も可能であり、手続きの負担は以前より軽減されています。
計画的な修繕は、建物の構造的な健全性を維持し、快適な居住環境を保つことだけでなく、このように税負担の軽減という形でも、区分所有者にとって経済的なメリットをもたらす可能性があるのです。
将来の資産価値維持と、現在の税負担軽減の両面から、この制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。